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EXOTICA:青の洞窟 「cruel spiral arousal 《3》」

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次の日はカイもチェンと一緒にオフとして過ごしていいと言われていたので、何度も何度も目を覚ましながらも、ずっと眠っていた。
眠りから覚めるたび、隣のチェンを覗き込んだ。疲れが出たのか、はたまた何かまだ体に何らかの支障が出ているのか、チェンは昏々と眠っていた。だが様子は普通だったので、そうスタッフの連絡に対し返すと、カイもその後再び寝るということを繰り返した。
そうして時は過ぎ、起き出したのは夕方だった。さすがに体を起こしたカイも、カーテンの間から夕焼けを見たとき、まだ夢の中だろうかと一瞬疑った。こんなに寝たのはいつ振りだろうと思った。
首を横に向けて傍らのベッドを見ると、チェンの姿がなかった。
カイがベッドから飛び出し、「ヒョン!?」と叫ぶと、「ジョンイーン」と声が聞こえた。
ほっとしてぐるぐる回転しながら下に行くと、キッチンにチェンの姿が見えた。
「おはよ。なぁ、これ懐かしくないか?」
そう言うと、チェンは日本で食べたラーメン屋のインスタントラーメンの袋を見せた。
「これ、さっきコンビニに行ったら売っててさ、買っちゃった。腹減ったろ、一緒に食べよう」
袋の説明をよく読みながら調理を進めるチェンに、何もおかしなところがないのを見て取ると、カイは不安な気持ちが穏やかに消えていった。
美しい声の鼻歌が舞い、少しすると二杯分のラーメンがテーブルにいるカイの元にもたらされた。
「さぁ、伸びないうちに食べよ」
チャーシューと白ねぎが乗っているラーメンからは、日本で食べたときと同じ匂いがした。
カイの正面の席にチェンは着いた。
「「いただきます」」
細い麺をずずっと啜ると、とんこつスープが絡まった麺が口の中いっぱいに広がた。
「なぁ、食べながらでいいんだけど、聞いてくれるか」
チェンが鼻を啜って切り出した。
「俺とお前、付き合ってるってことで、いいんだよな?」
質問にひるむと、カイはどういう顔をしたらいいのだろうと迷ったが、とにかくこくりと頷いた。
「じゃあ俺は、何でか分かんないけどその記憶がすっぽり抜けてるんだなあ」
味がよく分からなくなったラーメンを、カイは機械的に口に運んだ。
「つまりさ、お前、俺のことを好きだってことなんだよな?」
唇を突き出し、手を止めたカイは下を向いたまままた首だけで素早く肯定を示した。
「そっかあ」
そう言うと、チェンは丼を傾け、スープを全て飲み干した。
「ふぅ。もう一杯食べたいな。今度作るときには、替え麺も買っとかないとな」
ごく普通にそう言うチェンに、カイも努めて調子を合わせ、答えた。
「うん。もやしとかもあるといいね」
「お前それで足りそう?」
「うん」
チェンは出しておいたグラスの水を一気に飲むと、明るく言った。
「なぁ、その、俺たちが付き合ってたときのこと、いろいろ教えろよ」
「えっ」
飲んだ汁を吐き出しかけ、カイは顔を上げた。
「さっき、ネットも見たんだけど、なんか実感が湧かなくて。直接お前から聞きたいんだよ」
チェンと見つめ合うと、カイは食べるのをやめて言った。
「分かった。ヒョン、体どう?」
「俺?ああ、平気。なんともないよ。ただまだなんとなく眠いけど」
「そっか、よかった。でも眠いなら、できるだけ寝た方がいいよ」
「めちゃくちゃ寝たけどなあ」
「でもまだ眠いんでしょ。俺も早朝ってゆーかほとんど夜中から仕事だから、コンディションのためにも今日は早く寝るよ」
「お前は寝るの好きだからいいだろうけどさ、俺はなんかもったいないよ」
「いいから。言うこと聞きなよ」
「お前に諭されるとはなあ」
「もう、今日は風呂入って寝よう。明日帰ってきたら話すから」
話がまとまると、順々に風呂に入って、身支度をしてまたベッドに戻った。
もしも自分がチェンと今も付き合えていたら。
カイはゆっくり風呂に二人で入ったり、ベッドでのびのびと行為に及んだりできるのにと心の中で悲しんだ。
世界は二人を祝福してくれているのに、チェンはカイを愛していない。
こんなことを望んだわけではないと思いながら、カイはチェンに背を向けて寝た。




続く





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