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EXOTICA:青の洞窟 「cruel spiral arousal 《4》――完」

企画2

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まだ暗い中始まった仕事は、延びに延びて深夜に終わった。
マンションに戻ったカイは、朝出かける際見付けた、キイホルダーにぶら下がった他の鍵に混じって光るあの黄金色の鍵を使って部屋に向かった。それは二人がそこで暮らしているという新たな証拠だった。
ただいまと言って入った部屋は灯りが灯っていなかった。不審に思って中を進むと、ソファでチェンが寝入っていた。
「ヒョン」
肩を揺すると、薄く目を開いてチェンがお帰りと言った。
「もしかして、ずっと寝てた?」
横になったままチェンは答えた。
「うん。そう。こんなに寝られるもんかと思った」
「そんでまだ眠いの?」
「実はそうなんだよな」
ソファのチェンの足辺りに座ったカイは、心配を顔に出して言った。
「それ…大丈夫?やっぱ、病院もっかい行く?」
「うーん、なんか、そもそも俺らおかしいだろ、今。あの洞窟行ってから、何かが狂ってるんだよな」
頭を掻き掻きそう言うチェンに、カイは同意した。
「そうなんだよね。あのとき、…あのドアを開けたのがいけなかったのかなって、俺思ってたんだ」
「ドアのせいかは分かんないけどさ。俺あそこで、どっか違う世界に繋がってるかもみたいな馬鹿なこと言ってたけどさ」
「うん」
「ほんとにそうなってたってことなんかな」
しばしチェンの白っぽい髪と肌と白目だけを見ながらカイは口を閉じた。カーテンの開いた部屋の中は街の灯りだけしか光がなく、チェンは一人で発光しているようだった。
「ヒョン、妖精みたいになってる」
ふとそんなことを言った。
「何言ってんだよ」
チェンの笑顔がカイにその白い歯も見せた。
「ヒョン、ヒョンには、俺から告白したんだよ」
暗いからきっとあまり見えないだろうと、カイは潤んできた目をそのままにしてチェンに言った。
「ヒョン、好き」
他愛もなく涙は落ちたが、放ってカイはチェンを見続けた。
起き上がったチェンは、腕を伸ばしてカイの頬に触れた。そして優しく筋を拭った。
「泣くなよ」
「見えてたの」
「光ってるからな」
鼻をぐずぐず鳴らすカイに、チェンは寄ってその体を抱いた。
二つの体が重なって、カイは思わずぎゅっと力を入れてチェンを強く抱きしめ返した。
「好き」
耳元で囁くと、チェンの体に振動が走った。そして
「ジョンイン」
と、我に返ったような声をチェンが発した。
「ヒョン?」
慌てたカイは体を離して目元を拭いた。
すぐ目の前で見たこともないような表情をしたチェンが、カイを食い入るように見つめていた。
「ジョンイン、俺、思い出した」
「ヒョン?」
「俺お前のこと好きなんだよ。なんで忘れてたんだろう?お前がああ言ってくれて、付き合えて、あんなに幸せだったのに」
息がかかるほど近くにいた二人は、どちらからとも無く顔を近づけ、貪るようにキスを始めた。ジョンインが口付けをしたままチェンを抱き上げ、時を遡るように階段を回りながら上昇し、広いベッドに彼を降ろした。
こんなふうに抱き合いたいと長らく願っていた通り、二人は交わった。
飽くことなくカイはチェンを求めたが、チェンはいつしか眠っていた。気絶したように寝息を立てているチェンを見て、カイは幸福の絶頂にありながら悲しい決意を一人で固めた。

朝起き出すと、チェンを揺り起こしてカイは言った。
「ヒョン、今日、あの洞窟近くでまた仕事なんだ。こないだの続き」
「…そうか」
「うん。で、ヒョン本当は今日オフだけど、一緒に行こう」
「なんで?」
「あの洞窟に行くんだよ」
「…何しに?」
「あそこに行けば、元の世界に戻れるかもしれないと思うんだ」
朝日の中、全体に消え入りそうなチェンは間を置いて言った。
「…戻りたいのか?お前」
眉の間を寄せて、カイは苦しそうに言った。
「ヒョン。ヒョンは多分、ここに来ることと引き換えに、ここでほとんど起きていられないようになっちゃってるんじゃないかなって、俺思う」
言いながらカイはその荒唐無稽さに呆れ、しかし辛さから声が震えた。
「ヒョン、そんなに眠いのなんて変だよ。体はおかしくないんだ、きっとこの世界のせいなんだ、だから向こうに帰らなくちゃ」
「でも俺」
チェンも眉を八の字にした。
「俺、お前とここにいたい」
ごくりと唾を飲みこんだカイは、かすれ気味の声を出して懸命に訴えた。
「ヒョンはここにいたら、歌う仕事ができなくなるよ。そんなの俺、いやだよ」
日の光がチェンの目の涙を照らした。
「一緒に帰ろう。俺たちはあの世界でも幸せだったよ。大丈夫だよ」
そうチェンに言い聞かせながら、カイも泣いていた。
二人は目を擦りながら階段を下った。

メンバーやスタッフからあれこれ声を掛けられながら、チェンは重々気を付けるからと無理を言って車に乗り込み、みんなと共に海を目指した。
しかしチェンは眠ってしまった。
後部座席の彼の隣に陣取ったカイは、膝枕をしてあげながら、無言で窓外を眺めていた。
「やっぱまだ仕事は無理だな。今日一日休ませとこう」
スホが血の気のない顔をしてひたすら眠り続けるチェンを見下ろしそう言うのが聞こえても、何も言わなかった。
目的地に到着し、粛々と仕事をこなしてカイは休憩時間を待った。チェンはと言えば、車の中で眠っていた。
とうとう休みとなった瞬間、カイは車に走った。そしてチェンをおぶり、洞窟へと急いだ。
目を剥いた係員に何も言わず金を渡して中に入ると、青く光る洞窟の一つに早速向かった。
進入し、奥が見え、そこにあの扉を認めると、カイは胸を撫で下ろした。
「ヒョン」
おぶったチェンの顔に頬をくっ付け、カイは言った。
「着いたよ」
「…ああ…」
青く色の付いた二人は、お互いの熱を分け合いながら扉に寄った。
手を伸ばしてカイは祈った。
――ヒョンと一緒に、元いたところに戻りたい――

ノブを捻ってゆっくりと扉を開けた。
願った通り風は起きた。目を瞑りながらカイはこれはと確信した。
二人に向かって吹きすさんだ疾風が過ぎ去った気配に合わせ、カイは前を見た。
そこには岩の壁。
もぞもぞと背中でチェンが動いた。
「ジョンイン」
「ヒョン?目、覚めた?」
「俺寝てたの?悪い、おぶってくれたんだな」
降りるよと言うので腰を下げると、靴音を鳴らしてチェンは地面に立った。
扉の向こうのただの壁面を見て、拍子抜けしたようにチェンは言った。
「ただの壁じゃんなあ。なんで扉があるんだよ」
なぁ、と呼び掛けるチェンを振り向くと、その表情から、カイは悟った。
「ヒョン?」
「ん?」
「もう、眠くないの?」
「ああ、ごめん、俺いつ寝ちゃった?全然覚えてないんだよ」
苦笑するチェンを苦笑して見返し、カイは言った。
「ヒョン、ここ出るまで、手、握っててもいい?」
答えの前に手を取った。
「なんだよ、二人きりだからって、そんなことばっか考えてんのか」
チェンはそう言いつつ嬉しそうに笑い、手を握り返した。
カイは泣き笑いの顔になったのを隠すように下を向いた。
入り口の方に体の向きを変えて、二人は手を繋いだまま歩き出した。
そして穴を出ようというとき、カイは手を解いて走った。それをチェンは、軽やかに笑って追った。











2 Comments

roiniy(ooba) says..."ええじゃないか。"
初めまして。

roiniyと申します。

企画でご一緒させていただいてすぐに作品を読んだのですがご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。

私は日ごろexoのメンバーのお名前を借りた小説を書いておるのですが…カイチェンカップルというのは
扱ったことがなくどんなお話を書かれるのだろうと興味深々でした。

う…忘れないうちにですが…

カイに言いたい。

ええじゃないか。

別に周囲に公認貰わなくてもチェンがカイのことが好きでカイはチェンのことが好き。

その事実があればいい。

きっとカイもそう思っていつもの元気なチェンに会いたくて現実に戻る決心をしたのだと思います。

カイが相手のことを想いやれるいい男に感じました。

お互いの夢を追いながらこの世界で一緒に懸命に生きていく二人のこれからの未来に
幸せがたくさんあるように…と思いました。
2017.10.05 11:29 | URL | #t.yCzdAA [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017.10.06 02:09 | | # [edit]

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